演奏曲目の解説
チャイコフスキー / スラヴ行進曲 作品31
1876年6月、オスマン帝国軍によってセルビアのスラヴ人が虐殺されるという事件が起きました。同じスラヴ人の同胞の悲劇を聴き愛国心に駆られたチャイコフスキーはわずか5日でこの曲を作り上げ、初演は熱狂的な大成功となりました。
チャイコフスキー / ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
現在でこそチャイコフスキーの作品の中でも最も人気の高い楽曲の一つですが、完成したこの曲を献呈するつもりであったロシア随一のヴァイオリニスト、レオポルド・アウアーからは「演奏不可能」の烙印を押されてしまい、初演地のウィーンでも冷ややかに受け止められるなど、当初は決して好評とは言い難い反応でした。
しかしながら、初演時にソリストを担当したアドルフ・ブロツキーがこの曲を取り上げ続けたことにより、この曲の真価が少しずつ認められていきました。チャイコフスキーは後に感謝の意を込めて、この曲をブロツキーに献呈しています。
ドヴォルザーク / スラヴ舞曲集第1集 作品46 より 第1番 ハ長調
この曲はドヴォルザークの才能を高く評価し、交流のあったドイツの大作曲家、ヨハネス・ブラームスの作品である「ハンガリー舞曲集」の成功を受けた出版社が、ドヴォルザークにも同じような舞曲集を作って欲しいとの要望を受けて作曲されました。元はピアノ連弾用の作品でしたが、後に作曲者自身によって管弦楽用に編曲され、現在まで演奏され続けています。
ウェーバー / 歌劇「オイリアンテ」序曲
クラシック音楽におけるロマン派の開祖としてその名を残すカール・マリア・フォン・ウェーバーが1823年に作曲したオペラの序曲です。オペラ内で歌われる旋律を組み合わせて構成されており、オペラの魅力が凝縮されていると言っても過言ではないでしょう。
ダヴィッド / トロンボーンとオーケストラのための小協奏曲
世界最古のオーケストラの一つと言われるライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のコンサートマスターを務め、シューマンメンデルスゾーンとも親交のあったフェルディナンド・ダヴィッドが同僚のトロンボーン奏者のために書いた作品です。教会音楽で重用され、「神の楽器」とよばれるトロンボーンの勇壮かつ輝かしいサウンドを堪能出来る作品です。
R.シュトラウス / 楽劇「薔薇の騎士」より ワルツ
ドイツ・ロマン派最後の大作曲家リヒャルト・シュトラウスの代表作の1つである楽劇「薔薇の騎士」。全編に渡って演奏されるきらびやかな旋律は、初演から現在まで世界中の聴衆に愛されてきました。今回はその中でも特に人気の高いワルツの数々をハイライトとしてお届けいたします。
J.シュトラウスU世,ヨーゼフ・シュトラウス / ピッツィカート・ポルカ
19世紀中期のウィーンを席巻する人気作曲家であったシュトラウス兄弟。彼らが合同で作り上げたのがこのピッツィカート・ポルカです。ヴァイオリンを指でつま弾く「ピッツィカート」という奏法で全編が構成されており、その特有の音色を活かしたかわいらしい作品です。
J.シュトラウスU世 / ※常動曲
ユニークな曲の終わりを持つ、ヨハン・シュトラウスのポルカです。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサートでもたびたび演奏される人気曲です。
J.シュトラウスU世 / 美しき青きドナウ
「ワルツ王」とうたわれたヨハン・シュトラウスU世のワルツの中でも、最も有名かつ人気の高いワルツです。隣国プロイセンとの戦争に敗れ、意気消沈するオーストリア国民を励ますべく作られた、華麗かつ優雅なワルツです。
※常動曲(じょうどうきょく、ラテン語でperpetuum mobile)
作品257はヨハン・シュトラウス2世が作曲した管弦楽曲。「無窮動」
(むきゅうどう)とも称され、ニューイヤーコンサートで多く演奏される作品。
始めから終りまで速い動きの同一音型が休みなく続く楽曲「常に動いているように」と指示している通り何回でも繰り返し演奏出来るように作られた作品で、1861年4月4日にウイーンで初演され、当時はあまり好評ではなかったが、現在はコンサートにおける「小粋なアンコール曲」として親しまれ有名になっている。
スコアの最後に「あとはご自由に」と書かれフェイドアウトする演奏や、最初から繰り返す演奏、指揮者が「あとはこの繰り返しです」と聴衆に語りかけて終わる演奏が一般的です。
音楽番組「オーケストラがやって来た」のテーマ曲として広く知られ、また「音楽の冗談」という副題を持っており、シュトラウス2世の遊び心が込められた小さな佳作である。 |